季節のお手入れ

オンシジウム グループ Oncidium

 オンシジウムのグループは、北はフロリダ、メキシコから南はアルゼンチンまで南北に広く、また垂直にも平地から3,000メートルの山地までと、非常に広く分布している数多い原種とその交配種ですから、極めて多様な性質を持っています。従ってその栽培法はさまざまで一口では言えません。ここではその中から4つのグループを選んで栽培のポイントを申し上げましょう。
1. アンデス高地のラン   例:オドントグロッサム、ミルトニオプシス
2. 剣状葉系のオンシと言われるラン トリムニア
3. 厚葉系のオンシと言われるラン  トリコセントラム
4. 普通のオンシジウム   切り花にするようなオンシジウム

1.アンデス高地のラン
 最も美しいと言われるオドントグロッサムの交配種はクリスパムをはじめとする多くの原種から作り出されており、その原種はすべて南米アンデスの2~3,000メートルの高地の雲霧林に分布しています。そこは1年を通して最低10度から最高22度で、湿度は常に70%の環境です。日本でこれをよく咲かすのには、夏でも夜15度以下、昼24度以下といった環境を作る必要があります。加えて湿度と風も原生地並みにしなくてはなりません。これらの属間交配種はもうすこし楽に作れますが、あまり一般的とは言えませんから今回はこれ以上の説明は省くことにします。

2.剣状葉系のオンシと言われるラン
 トルムニア属のバハメンシス、プルケラ、バリエガータなどのランは、以前は剣状葉系のオンシといって栽培されてきました。このグループはハワイで多彩な交配種が作り出されて園芸店を飾っているのでご存じのと思います。その原種は西インド諸島原産なので、前項のオドントグロッサムとは逆に暑さに強く、夜間20度以上、昼間30度以上が良く育つ温度です。このグループは水が大好きですが濡れているのが嫌いという厄介な性質を持っているので、水切れの特に良い材料で植えて頻繁に灌水するという栽培をします。園芸品種はだいぶん楽になっていますが、よく作るには多少の慣れが必要でしょう。

3. 厚葉系のオンシと言われるラン
 以前は葉が厚くてかたいオンシジウムを厚葉系のオンシと呼んで区別していましたが今はこのグループや葉が丸く棒状になったオンシはトリコセントラム属に移されました。
オンシジウムというより、むしろカトレヤに近い作り方が向いているランです。温度は最低15度から20度、最高25度から30度の環境を好み、光線は普通のオンシジウムより多少強めでよくできます。湿度も過湿にならないように注意します。バルブが小さく、厚い葉がバルブの代わりをしているので、葉の様子を見て灌水の加減ができるようになれば立派な株に育つでしょう。

4. 普通のオンシジウム
以前薄葉系のオンシと呼ばれていたグループは栽培条件も幅広く、つくり易いので人気があります。とは言え広く分布している原種やその交配種ですから適した栽培条件を一言で済ますのは困難です。しかし適応性があるのが救いで、たとえば最低温度10度、夏季の光の強さは30から70%の遮光、湿度は自然状態のまま、といった条件でかなりの種類のオンシジウムを作ることができます。逆に言うと比較的無理なくできる各自のお宅の条件で、気に入ったオンシジウムをいろいろ作ってみてよくできるものを選ぶという方法で種類を探すという作戦でいくのはどうでしょうか。

 オンシジウムのグループには前記の4グループのほかさまざまの種類があります。街の花屋さんや園芸店で目にすることのできるオンシジウムはカトレヤやデンドロビウムファレノプシスなどに比べて限られていますが、専門のラン園に行くと思いがけない美しいあるいは変わった面白いオンシジウムに出会うことができます。またオンシジウムのグループには約80の属があって、信じられないような奇妙なランが存在します。ランを楽しむ幅を広げるにはオンシジウムのグループは好適です。挑戦してください。

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