季節のお手入れ

カトレヤ 11、12月の栽培管理

これから本格的な寒さが到来する時期です。暖房機の点検、灯油の補給チェック、ガス暖房機の点検、温度調節のためのサーモスタットの目盛りの確認など、早めに準備をしておくことが大切です。

カトレヤはこの時期に花芽を形成する冬咲きから春咲きの品種が多くあります。花芽の形成には、温度や日照、水、乾燥などさまざまな環境条件・栽培管理条件が関係します。また、この時期は展示会シーズンでも控えており1年の栽培管理の集大成の大切な時期でもあります。

水やり
冬の水やりは控えめが原則です。気温が下がるとコンポストが乾きにくくなってきます。ほとんどの種類は乾いたのを確認してから、さらに2-3日待ってたっぷりと水を与えます。温室の温度設定やコンポストの種類、換気の状況などで水やりのペースはずいぶんと変わってきます。この時期は鉢ごとの管理が必要でしょう。

例えば、花が上がる株は、出来るだけ水を切らさないようにします。花が終わった秋咲き種は殆ど水を切ります。冬でも生長をしている株や小苗などは水切れさせないようにします。トリアネ一、ワ-セウィッチ、ド-ウイアナなどコロンビア系の原種は、温度を保てれば水切れさせないようにすると良いでしょう。

温室で管理していない場合は、水やりは晴れた日の午前中に行います。冬でも、夕方には鉢の中に余分な水が残らないようにすることが基本です。室内に取り込むと鉢の乾き方はずいぶん遅くなります。過湿に注意し、水やりは鉢の表面が乾いてから必ず数日おいてから行うようにします。

日照、置場
11-12月は一年のうちでもっとも日射の弱い時期です。強めの光線を好むものが多いカトレヤは、光線不足に気をつけなければなりません。温室に特別な遮光はしないほうがよい花を咲かせてくれます。また、基本的には日光を好むものを温室の上段や南側に、温度をそれほど必要としないものは下の方に置くなど、ひとつの温室を上手く使うことが大切です。

温室がない場合には、窓際の日光がよく当たる場所を選んで置きます。日光が強すぎる場合には、レースのカーテンを引きましょう。

温度・湿度・通風など
温室に取り込んだあとは、昼夜の温度に気をつけます。最高最低温度計は必ずよく見るようにしましょう。この季節の閉めきった温室内は、昼間が意外に暑くなる日があります。
あまり暑くなっては蒸れの原因にもなるので、天窓を開け閉めするなどして調整を図ります。

カトレヤには高温性のもの、中温性のもの、低温性のものなどさまざまな品種があり、全てのカトレヤに適切な冬の最低温度を示すことはできません。一応の目安としては、最低温度を15℃程度に設定し、温室内各所の部分的な温度差を利用します。基本的には高い温度を好むものは高い位置に、低めを好むものは低い位置に置くようにすると効果的です。
ミニ・ミディ系の交配種については、寒さに強くなっているので低温管理が向いています。

温室内では撹拝扇や換気扇をつねに回しておき、理想的にはいつもそよ風が吹いている状態を作り出す必要がります。室内の場合は風を吹かせておくのはむずかしいと思いますが、ときどきは窓を開けて、閉めっぱなしの状態は避けます。

肥料
新しいリードバルブが伸長中なら、肥料を与えても構いません。他の季節と同じく、薄めの液肥を少量与えます。いっぼう、室内で温度が保てない場合は、肥料を与えないようにします。肥料を与えるとかえって根腐れを起こしてしまう危険性があります。

病害虫
ランを温室内に取り入れる際、十分に観察して害虫を取り除き、消毒しておくことが大切です。殺菌剤はそれぞれの病気の種類によって異なりますが、ダイセンが比較的に多くの病気に効きますので、面倒な方にはダイセンをお勧めします。

温室内にとりいれてからは、特に開花している株に注意してください。花はもちろん、鉢の表面や根の先、バルブの根元の薄皮のあたりなど、スリップスやナメクジなどの被害が出ていないかを確かめます。室内では側窓などを閉めきることが多くなる時期は、あまり薬品を使いたくない時期でもあります。しかし冬でも、定期的な消毒を行うように心がけましょう。

特に注意が必要なのはボトリチス病です。花やつぼみに褐色の斑点が出るカビ病の1つです。低温のときに湿度が高すぎると、ボトリチス病が発生し、せっかく咲いた花の観賞価値を損ねてしまうことがあります。湿度が高すぎる場合は、夜間の温度を少し高めにすると、ポトリチス病を防ぐことができます。

その他
展示会のシーズンです。シースからつぼみが現れてきたら、早めに支柱立てを行います。花の重みで垂れ下がり、うつむき加減に咲いてしまい、観賞価値を損ねるので注意しましょう。

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