鎌倉蘭友会とは

 鎌倉蘭友会の創立は1967年 1月で,神奈川県下では湘南蘭友会に次いで2番目に結成された蘭愛好会です。会員は2002年 1月現在, 男性54人,女性31人の計85人で,大きい会ではありませんがなかなか特色のある会です。
?? 当会は梅香家 健会長を中心に非常によくまとまっており,いつも和やかな雰囲気で蘭を育て楽しんでいます。幸い鎌倉近傍は空気が澄んでいて,光線の質も良いので蘭栽培には好適の地です。会員の中には,洋蘭について高度な知識を持ち栽培技術の高い人々が多く,その人たちがそれぞれの得意分野を持って活躍していることが目につきます。


 会員のコレクションの傾向は,標準的な属の蘭に限らず,幅広く多彩な原種や,いわゆる「その他の属(カトレア,シンビ,デンドロ,パフィオ,ファレノ以外の)」のものも多く見られます。マスデバリアやオドントなど暑さに弱い蘭を栽培する会員が多いのも,熱帯夜が少ない地の利を生かしてのことでしょう。
 また会員は鎌倉在住者ばかりでなく,横浜,東京をはじめ13の都市,町から集まってくる人たちが全会員の 6割以上を占めています。これはローカルの会では珍しく,会独特の性格が魅力となっていることの表れかもしれ ません。会員の構成の特徴としては,女性が多くかなりレベルの高い活躍をしていることと,自由時間が制約される人や高齢者が多いことが挙げられます。
 自由に動ける若手がいないのが当会の泣きどころで,展示会など行動力が要求されるときは大きなハンデとなっています。若手やプロが,手際よく作業を進めているよその会を見てうらやましく思うこともあります。

◆会の生い立ち

?? 1966年(昭和41年),元新聞記者の吉良氏仁氏や,鎌倉駅前で喫茶店イワタを経営していた岩田光之氏らが, 七里ケ浜の清水謙樹氏の温室に出入りして蘭の魅力に浸っているうちに,「鎌倉には蘭の愛好家が少なくない。 ひとつ同好会を結成してお互いに連絡を取り合い,みんなで蘭を楽しむようにしたらどうか」という話が持ち上 がりました。そんななか,この年の暮れ,喫茶店イワタの店内に20鉢あまりの蘭を飾ったところ思いがけない 人気を集め,話はとんとん拍子に進んで,翌1967年 1月 7日に会設立の集まりを開催。ここに鎌倉蘭友会が誕生 しました。
 初代会長には岡田源三郎氏が就任し,早速,毎月例会が開催されるようになりました。月例会には 小田善一郎氏や真鍋左武郎氏らが参加され,また米国のオーキッドジャングル蘭園の社長夫妻も訪れるなど月毎に 充実し,その年の7月には会員数も45人に増えました。その後会長は栽培指導に当たっていた清水氏に代わり, 会の運営も順調に軌道に乗っていきました。

◆月例会

 どこの会でも月例会は活動の柱です。
鎌倉蘭友会では最初から第1日曜日に例会を開いています。会場は当初の 3年間は会員の増加にともなって, 鎌倉電気会館,横浜銀行鎌倉支店,婦人子供会館と移してきましたが,1970年 2月からは鎌倉商工会議所を会場 とするようになって現在に至っています。
 月例会は持ち寄った蘭の展示,連絡事項などのお知らせ,人気投票の後,その月のメーンテーマに入ります。 これは会内外の講師による講演やスライド,ビデオ,の鑑賞が中心です。
例会の講師に,後藤兼吉氏や,五島八左衛門氏を迎えたこともあり,得難い経験として強く会員の記憶に残っています 。また会員同士の栽培などに関 する討論会や植え替えの実演なども適宜挟まれます。
 コーヒーブレークののち,人気投票の結果発表,授賞,入賞花の説明と続き,増殖株の交換会や,蘭園の出張販売などがあって,例会を終了というケースが通例となっています。年に3回ほど栽培コンテストも行っています。
 また毎年 1月には総会を開き,そのあと新年会を兼ねた例会に移ります。8月は生ビールを飲みながらの納涼例会とするのも恒例です。
 特異な行事は毎年 1回開催する横浜蘭友会との合同例会です。1980年に横浜を会場に第1回 を開催し,以後遇数年は横浜,奇数年は鎌倉でと,会場を交互に替えながら昨年で16回を数えます。この合同例会 は両会の親交を深めると同時に,長所を学び合うという大きな効果があり,終了後の懇親夕食会では蘭談義に花が咲き, 楽しいことこのうえありません。

◆展示会

 蘭愛好会の行事のひとつに展示会があります。鎌倉蘭友会は1969年 3月に,県立フラワーセンターで最初の蘭展を 開催。翌1970年からは会場を鎌倉市役所に移し,毎年,春秋 2回の蘭展を催すようになりました。
 市役所内で蘭展が催されるというのは,あまり類をみないのではないでしょうか。市役所を訪れる人たちに楽しんでもらおうという主旨ですが,このような地域社会に密着した蘭展は意義のあることだと思います 。この蘭展 は小ぢんまりとしたものですが,それなりの人気があり,現在まで連綿と続いています。鎌倉市内には,こうした 蘭展が開けるようなスペースがなくて長年不自由をしていたのですが,1990年からは藤沢西武を会場に,やっと世間並みの蘭展が開催できるようになりました
が,残念ながら藤沢西武の撤退で 7回で終了となりました。
 友好関係にある各愛好会の蘭展への協賛出品にも熱が入りますが,やはり1987年の向ヶ丘遊園での第12回世界蘭会議(WOC) の大らん展をきっかけに始まった,東京ドームを会場に開かれる「JGP世界らん展」 は会員に とって大きなイベントです 。鎌倉蘭友会は向ヶ丘遊園ではレッドリボンを獲得,JGPでは1991年に特別審査員賞,1994年に奨励賞,1995年は特別賞をそれぞれ受賞することができました。
 これらの国際的な蘭展における会員個人の入賞成果も少なくありません。第12回世界蘭会議と以後の東京ドームで,アマチュアの会員が得たリボンおよびメダルの数は約50,会の規模からみればよく健闘しているといえます。そのなかでも生野昇元副会長が,JGP91,93と 2回も優秀賞を獲得したことは会の誇りでもあります。

◆その他の行事

 会報の発行は会の活動を助けるために欠かせません。しかし,これはなかなかの大仕事で,よほどの篤志家に恵まれないと実行できないものです。
 鎌倉蘭友会では創立 8年で,やっと月報が発行できるようになりました。8~16ぺージのささやかなものですが,創刊以来ひと月も欠かすことなく,昨年の12月には325号を発行しました。会報の内容は会員 への連絡事項をはじめ,前月の人気投票の結果と入賞者のコメント,講演などの抄訳,会員の寄稿などです。1998年8月から入賞花のカラー写真ページが追加され,好評を博しています。
 蘭園訪問も年に 1回は実施しています。昔は貸し切りバスを用意したものですが,今は電車や自家用車。行き先は県内や近県がほとんどですが,ときには愛知県あたりまで足を延ばしたり,岡山県まで行ったこともあります。会で主催した海外蘭旅行としては,創立10周年の記念行事として東南アジアを回ったことがあっただけですが,会員個人あるいは小グループでの世界蘭会議参加や海外各地の蘭展視察,蘭の原生地の探索,現地の蘭園訪問などは, 結構頻繁に行われています。