季節のお手入れ

カトレヤ 7、8月の栽培管理

日照
6月下旬から7月中旬にかけての梅雨の期間中は、空気中の湿度も高く、各種ランにとって湿度条件には恵まれていますが、雨天や曇天が多いため日照は不足しがちです。

一方梅雨明け後は、一気に強い日射に見舞われ気温も急激に上昇します。今度は強い日射からランを守ってやることが必要になります。この梅雨明けの移行期には、とくに日焼けに注意しなければなりません。梅雨明けの前と後で栽培管理法が非常に異なることに十分注意が必要になります。

梅雨明けの強い日射しにより、場合によっては1日にして生理障害である「菓焼け」を起すことがあります。梅雨明け後は、50%の遮光下での戸外栽培が基本です。特にSoph.系は強光を嫌う種が多いので注意しましょう。

一般に交配種の場合は比較的に強い種が多いですが、それでも直射光は避けるべきです。また幼苗や初開花前の株は更に60%~70%遮光にした方が株が健全に育つのに良い環境といえます。

水やりと施肥
梅雨明け後の水やりは原則として、夕方から夜間にかけて行うようにします。朝や午前中に水を与えると、日中に鉢中に溜まった水が高温のために茹だってしまい、しかも無風状態の環境では蒸れて根を傷めることになりかねないからです。夕方から夜間にかけて水やりし、吸水と同時に株や鉢中の温度を下げてやり、夜間をできるだけ涼しく過ごさせてやるのが夏越し対策のポイントです。

また毎日夕方に水やりすることは、翌日の強い日差しの日中に葉面から水を発散させて葉面の温度を下げ葉焼けを防ぐ効果もあります。

施肥
一般に夏の暑い時期は株も弱っており、この時期には肥料を控えるのが原則です。

しかしカトレヤの中でも秋から翌年の春咲き種の多くはこの真夏の時期が成長期に当たります。これらの株にとっては一番大切な時期ですので、少なくとも芽が動き成長している株には養分が必要になります。置き肥と液肥の併用を続けてください。置き肥は油粕と骨粉を混合して完全発酵乾燥させたものを少し施します。発酵が不十分だと鉢の中で発酵し熱を持ちますので根が腐りますから気を付けてください。液肥は5,000倍から10,000倍で薄めがよいでしょう。多量の施肥は夏のこの時期は禁物です。

通風
夏の蒸し暑い天候では、温室内で夏越しする場合、窓を全部開放しても40℃まで温度が上昇しがちです。強い日照との相乗効果で、菓面温度はさらに上がります。従って、この時期特に大切なのが通風対策です。温室内で窓を開け放っている場合でも、天井付近には暖気が治まりやすいので、撹拝扇を廻すなどして、株周囲の空気を動かし風を強制的に起こしてやることが不可欠です。

戸外で夏越しする場合は、できるだけ風通しのいいところで、日当たりのいいところで遮光するのがベストです。庭の木陰などに適当な場所があれば一番いいでしょう。

病害虫対策
夏は病害虫に悩まされる時期です。この時期に多く発生するのは、ナメクジ、スリップス、カイガラムシ、ハダニです。

ナメクジ対策としては、ナメクジ駆除専用の誘因殺ナメクジ剤が販売されていますので、鉢の下やその周囲に薬剤をまいておくと駆除できます。

花がまだ終わりかけていないのに、ペタルの緑が枯れ込んできたらスリップスによる被害を疑う必要があります。スリップスは薬剤には弱く、どんな殺虫剤でも駆除できます。ただ、スリップスは繁殖力が強いので、薬剤の濃度は薄いものでかまいませんから、1週間おきに4~5回は続ける必要があります。

カイガラムシは、高温で乾燥した環境で多く発生します。カイガラムシはカイガラを被っていますので、なかなか駆除し難く専用殺虫剤(スプラサイド乳液)が必要になります。ただ乾燥を好むので毎日夕方に葉面散布で水やりしてやると意外に防虫効果がありますので是非試してください。

葉の裏が赤っぽく、あるいは白っぽくなり艶がなくなったら、まずハダニの発生している可能性があります。駆除するにはハダニ専用の殺ダニ剤を規定濃度で2週間に1回散布しますが、これも毎日夕方に葉の裏に水うちしてやると非常に大きな防虫効果があります。

その他
夏は高温のため、植え替え、株分け作業は控えましょう。

9月になって、いくぶん夜間温度が下がってから行ったのほうが無難です。また、植え替え後の生育もその頃になれば十分期待できます。

初夏に咲くパープラータやカンハミアナ等は花が終わって8月には新芽が動き出します。この時期に植え替えしたい気持ちはわかりますが、盛夏の植え替えは少し辛抱しましょう。

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