季節のお手入れ
デンドロビューム 1、2月の栽培管理
デンドロビュームはラン科の中でも最も種属が多く、かつ自生地が広範囲に及ぶため、品種によって自生環境も大きく異なり、従って栽培方法も様々です。
大きくは代表的な3つのタイプに分類することができますが、異なるタイプの多くあります。
① 寒さに強いノビル系、キンギアナムなど
② 高温性(デンファレ、ケーンタイプ)
③ ニューギアナ高地に自生する種(カスバートソニーなど)
1)日照、置き場所
他の季節より日照量は少ないのですが、 2月頃になると思ったより光線も強くなり、直射日光で通風が悪いと莱やけを起こすことがあります。温室ではこの時期20-30%の遮光をします。内張があれば遮光の役割をしているのでそれ以上の遮光は施しません。
室内で管理する場合は、できるだけ長い時間日光に当てられる場所で、レースのカーテン越しに管理するのが目安です。
ノビル系は室内の日当たりの良い場所で管理します。低温に強い品種なので温室が無くても室内での冬の栽培が可能です。
高温性のデンドロは温室内で管理しますが、温室に内張がしてあれば遮光はとくに必要ありません。
2) 温度、湿度、通風など
栽培に必要な温度は品種によりさまざまです。最低温度の設定は、栽培している品種や人によって異なりますが、 12-18℃程度が大半でしょう。さまざまな品種を1つの温室で栽培している場合、温室内の上方・下方の温度差を利用したり、温室内にケースを置いて暖房をし、局所的な高温室をつくったりすれば、それぞれの適正温度にできるだけ近い状態でよりよく管理できます。
また、特にこの時期に気を付けなくてはいけないのは、この時期が一年中で最も乾燥する時期だということです。湿度を補うために棚下に水を撒いたりシリンジ(霧吹き)で補ったりしましょう。
更に、寒い時期はどうしても閉め切りがちになります。通風には気をつけ、扇風機や撹拝扇で常に風を送ります。室内でワ-デイアンケースで管理している場合など、日光の差し方次第で思ったよりケース内の温度が高くなり、蒸れてしまうこともあります。
ノビル系は低温に当たらないと花芽が分化しない特徴を持っています。夜間温度が10度前後の屋外に10日ほどさらしておくことが必要です。その後暖房のない部屋で管理しても大丈夫です。夜温が高すぎるとせっかくついたつぼみがダメになることがあります。キンギアナムもあまり温度が高すぎないところで管理します。ただ冬に花を咲かせるには、屋外から取り込んだ後夜間の最低温度が15度前後に保てれば開花も問題ありません。
高温性のタイプは最低温度を18℃程度に保てればある程度咲かせることができます。
ニューギニア高地に自生する種類は、一年中常春で湿潤な環境で生育しています。したがって、日本の冬は寒すぎるため、最低温度が15℃程度の温室内で管理します。
冬季は室内の通風が悪くなります。つとめて換気と通風に気をつけましょう。
3) 水やり
水やりは温度と密接な関係にあります。温度が下がる時期、多くの種類はほとんど活動をしないため、水やりは控えめにします。夜間温度が低くなったときに水を与えると低温多湿の状態になり、根腐れを起こしてしまいます。自分の栽培環境では、どのくらいの温度を確保できるか、またその環境で何を栽培しているかによって水の与え方も異なります。
また一般的に低温で管理するものは基本的に乾燥気味に育てます。晴れた日の午前中に、コンポストが湿るくらいの水で十分です。また、春に開花するノビル系やアグレガタム、スペキオサムなどの原種は、冬に思い切って水を切ることが開花を良くします。
高温性のものは乾いたらたっぷり与えます。
4) 肥料
基本的に肥料はこの時期は与えません。ただし、高温性のカスパートソニイのように一年中生長を続けるようなタイプには、薄目の液肥を定期的に与えていきます。
5) 病害虫
暖かい温室ではナメクジに注意します。つぼみなどを食害するので、活動する夜に捕らえるか、殺ナメクジ剤を散布します。
また、乾燥している室内や温室では、特に葉の薄い原種のデンドロビュームにハダニが大発生することがありますので注意しましょう。カイガラムシも要注意です。