今月の例会報告
2009年8月
■2009年8月2日/鎌倉商工会議所会議室
■出席者数:27名
■出品株数:39株
1.報告事項
ランの分類の変更について(その1) 小松聰一さん
ランの名称(属名・原種の種小名、交配種の登録名)はサンダーズリストの方針のおかげで分類学者の論文にかかわりなく長らく安定してきました。しかし属間交配が複雑に進むにつれて、いろいろの不都合が生じるようになりました。従来の分類は主に形態学の観点から行なわれて来たのですが、 DNAの研究が進んだ今日、形態学に基づいた分類の問題点が次々と現れてきました。
1990年代に入って Mark W. Chase博士や Norris H.Williaims博士ほかのDNA研究が進み、それによる分類の合理性が明らかになったので、サンダーズリストも大変革を行なうことになりました。分類の変更の研究は着々と進み、その検討結果は1999年以降、Genera Orchidacearum という報告書で発表され、今年その第5巻が発行されます。
これでDNA研究に基づく再分類の概要がかなり明らかになったと思いますが、先般南米産のレリアがソフロニテイスに移されたと思ったら、最近それら全てがカトレヤになってしまいました。これはDNAによる分類といえどもそう簡単ではないことを示しているもので、今後とも分類の再変更はないと思ってはいけません。
再分類による名称(主に属)の変更はデンドロビウム、パフイオペディラム、パンダ などの東南アジアのランでは比較的少なく、中南米産のランで顕著ですが、この傾向はランの発見、発表が盛んだった時期は、原生地から研究、分類を行なうヨーロッパまでの輸送によるランの荷傷みが激しく、劣悪な標本で分類をおこなった結果と思います。
今回の分類の変更全てを会報で説明するのは、千に近い属を取り上げることになるので不可能です。馴染みが深く、数多く作られているレリア亜連(カトレヤのグループ)とオンシディウム亜連のランを中心に属の移動について2回に分けてご紹介したいと思います。
レリア亜連(Laeliinae)の主な変更
カトレヤ属 |
中米産のaurantiaca bowringiana skinneri がGuarianthe属(グアリアンテ属)に移されました。略号 Gur.です。 |
レリア属 |
南米産のレリア( purpurata ,flavaなど)は一旦ソフロニテイス
に移されましたが、最近ソフロとともにカトレヤ属に再び移されました。中米産のレリア( ancepsほか)は変わりません。 |
プラサボラ属 |
プラサボラ属のうちdigbyanaと glaucaは Rhyncholaelia属
(リンコレリア属)略号 Rl.に移されましたが cordata や
nodosaは変わりません。 |
エンシクリア属 |
かなり以前にエビデンドラム属から分離されて親しまれていた属
名ですが、今回その大部分が Prosthechea属(プロステケア属)
に移されました。略号は Psh.です。 |
ションプルキア属 |
Laelia属と、Myrmecophila属(ミルメコフィラ属)に分かれまし
た。略号は Mcp.です。 |
次回はオンシを中心に解説します。
2.納涼会
小松さんの音頭で乾杯のあと、楽しい歓談の時間を過ごしました。
軽弁当、おつまみ、飲み物の手配、当日の会場アレンジをお手伝いいただきました皆さんありがとうございました。
3.オークション
皆さんからお持ちより頂いた景品を、吉原さんの軽快な競りのリードで爆笑のなか、お陰様で12,800円のお買い上げを頂き有難うございました。会の財政の一助にさせていただきます。
自らお持ち頂いた北海道名産品をセリにかけられる上林さん
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