2010年5月の例会報告
■2010年5月9日/鎌倉商工会議所会議室
■出席者数:22名
■出品株数:32株
1.第2回 湘南「夏の洋蘭展」開催
昨年スタートした湘南蘭友会主催の「夏の洋蘭展」は、夏の時期における蘭展が少ないこともあって盛況裏に終わりました。今年は第2回です。
鎌倉蘭友会の皆様の出展ご協力をお願い致します。
会 期 6月3日(木)~7日(月) 10:00~20:00 最終日は17:00まで
会 場 梅屋ユーユー館6階イベントホール(平塚駅前北口)
搬 入 6月2日(水) 13:00~15:30 (直接搬入の方)
なお、鎌倉蘭友会の方は6月1日(火)午後 ヒロタさんに搬入戴ければ会場まで搬送致します。
搬 出 6月7日(月)17:00~(直接搬出の方)
なお、ヒロタさんに搬入戴いた方は、6月8日(火) ヒロタさんに引き取りに来て戴いても結構です。
審 査 6月2日(水)15:30~
JOGAメダル審査 6月3日(木)
即売会 相模洋蘭園、ヒロタ、αオーキッド他
2.なんでも情報交換
今月の例会では蘭の病害虫、特にウイルスについての質問が大きな話題だったと思います。重要なテーマだと考えますので、この機会に一通りまとめて解説します。ぜひ活用下さい。
蘭栽培における病害虫と薬品について
次ページの一覧表をまとめていますのでご参考ください。
最近特に多く発生するのがフザリウム菌です。特に茎の根元が1センチ、2センチと赤紫に変色していく症状が現れます。また、これからの季節に褐色細菌病や軟腐病は最も多発する病気です。折角の咲いた花に水浸状の小さな班点ができたら灰色かび病と考えて下さい。
(上写真2枚) ウイルス病と思われるえそ斑紋
(下左写真) 褐斑細菌病
(下右写真) ウイルス病と思われるモザイク斑紋
病名 |
病名 |
初期症状 |
薬品 |
備考 |
細菌 |
褐斑細菌病 |
水侵状淡褐色斑点 |
抗生物質殺菌剤(ストレプトマイシン剤など) |
褐色腐敗病。最も多発
する病気 |
軟腐病 |
水侵状淡褐色斑点 |
抗生物質殺菌剤(ストレプトマイシン剤など) |
葉裏からの発生頻度
高い。最も厄介な病気 |
菌類 |
疫病 |
根、茎基部が黒褐色 |
有機硫黄/塩素系殺菌剤(マンネブ剤、キャプタン剤、リド
ミル)など |
|
炭そ病 |
黒褐色、褐灰色班
葉周縁の褐色化 |
ベンゾイミダゾール系(トップジンM,ベンレート)、ダコ
ニールなど |
|
フザリウム菌 |
葉、茎基部の赤紫変
早期黄変落葉 |
EBI剤(トリフミン)、ロブラールなど |
最近多いとされる病気 |
灰色カビ病 |
花弁に水侵状斑点 |
有機硫黄/塩素系殺菌剤(マンネブ剤、キャプタン剤)など |
低温・多湿で頻度高い |
リゾクトニア |
新葉の委縮新葉の
委縮 |
ベンゾイミダゾール系(トップジンジンM,ベンレート)、バ
リダシンなど |
|
害虫 |
ハダニ |
葉に白色斑点 |
殺ダニ剤(オサダン、ダニカット、コロマイト)など |
|
コナダニ |
蕾の黄変 |
有機リン系(オルトラン)など |
|
カイガラムシ |
葉表面の斑点・斑紋 |
有機リン系(アクテリック)など、市販品以外ではスプラサ
イド、カルホスなど |
|
こがね虫類 |
食害痕 |
有機リン系(オルトラン)など |
|
アザミウマ・スリップ |
食害痕 |
合成ピレスロイド剤(テルスター)など |
|
ナメクジ・カタツムリ類 |
食害痕 |
メタアルデヒド剤(ナメトックス)など |
|
ウイルス病 |
CyMVなど |
不整形病班 |
なし |
廃株 |
その他 |
塩害 |
成長不良 |
なし |
コンポスト・鉢の変更・
交換。少量は害なし |
葉焼け |
黒班 |
なし |
遮光 |
問題はウイルス病です。例会でも一番話題となりましたので特に詳しく解説します。
細菌やカビ病は症状がよほど進行していない限り薬品で対処できますが、ウイルスは一度感染すると治療はできないとされる伝染病です。
それだけに栽培者にとっての脅威となります。厄介なことにウイルスはアブラムシ、ダニあるいはアザミウマという一般的な害虫により伝搬され、また植替えや日常の手入れの際に用いる器具や手、あるいは潅水の際のコンポストを通して垂れた水からも伝染します。このため前記媒体害虫の防除は重要ですし、植替えの際の第3リン酸ソーダによる消毒も重要です。
また日頃の潅水や株の購入時や分け株を頂いた時等にも細心の注意が必要になります。
しかしウイルスの深刻な問題は、はっきりとウイルス被病であることが分かれば直ちにその株を隔離あるいは廃棄できますが、症状が明確に現れる前にすでに多くの株に伝染している可能性があることです。ウイルスに感染していても健康な株には明確な症状が現れないのが普通です。開花した花に斑点が出るとか奇形の花が咲くとか、何らかの原因で急に株が弱ったときにはじめて症状が現れるものが多く、その時は多くの他の株に既に感染した後という事態も十分あり得ます。
従って、正直のところウイルスを完全に予防することは不可能です。
となるとウイルスをあまり神経質に心配していても仕方がないのかも知れません。この被害を最小限に抑えるには、何よりも症状の早期発見と株の隔離、廃棄しかないのではないでしょうか。
写真でウイルスの典型的な葉の病斑を2ページに示しておりますので早期発見に役立てて下さい。 (梅香家記)
お知らせ
(1) 第50回蘭友会らん展inサンシャインシティー
主催: 蘭友会
日時: 2010年5月27日(木)~30日(日)
場所: 池袋サンシャインシティー
(2) 第2回湘南「夏の蘭展」春の洋蘭展
主催: 湘南蘭友会
日時: 2010年6月3日(木)~7日(月)
場所: 平塚梅屋ユーユー館6Fイベントホール
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