2010年7月の例会報告

 

■2010年7月4日/鎌倉商工会議所会議室
■出席者数:27名
■出品株数:42株

1.‘ここ数年新しく導入され始めた東南アジア産地生ラン’

奥田園芸 奥田 勝氏の講演  

ここ数年でかなりバラエテイーに富んだ属種が流通するようになった代表種属について紹介がありました。
花色や形も様々で観賞価値の高いものもあります。栽培もポイントを外さないと比較的容易な部類も多いようです。
特に花が終わった後の球根の休眠への対応を間違わない事が大切のようです。
以下代表的な種を紹介します。

Pecteilis sagarikii 1 Pecteilissusannae 1
Pecteilishawkesiana Whitelip Hab.medusa 1

2.ラン菌との共生について

寄稿 古川 仁朗氏  

月例会で話題になりましたラン菌について、当日特別出席しておられた古川先生より以下のような寄稿を頂きました。要約してみますのでご参考ください。
蘭の種は非常に小さくて種自体では栄養分を殆ど持っていません。ですから普通の植物のように発芽しても、種の中に既に持っている栄養分で小さな苗にまで育つ事が出来ません。

蘭は発芽するとプロトコームという原塊体を作ります。このときにラン菌が寄生すると、そのラン菌から栄養分を取り、発芽、発根して成長します。その後ラン菌は根に寄生して蘭が成株になるのを助けます。ですからラン菌の無いところに蘭の種が落ちてもこのランの種は育たないのです。つまり自然界ではラン菌のいるところにしか蘭が群生しません。日本ではエビネやシュンラン、サギソウなど群生地帯はありましたが現在は殆ど見られないのが残念です。
それではラン菌はどんな栄養を供給しているのでしょうか。ラン菌は周囲にある有機物を分解して最初は糖分を発芽した蘭に供給します。これを吸収して幼苗が育つのです。葉が伸びて幼苗自ら光合成が出来るようになると、ラン菌は今度は幼苗の根に寄生して根の周囲にある有機物をリンと窒素に分解して幼苗の根が取り込むのを助けます。これが蘭の根の細胞の消化酵素によって分解され、蘭に吸収されるのです。このようにして蘭に共生しているラン菌によって栄養が供給され成長するので、自然界では蘭は無肥料でもラン菌がおれば育つのです。もう1つ大切なことは、蘭の葉が日光と水とCO2の光合成で糖分がつくられ自ら成長していることもわすれてはなりません。(出典 自生植物の利用、1998より)
それでは、人工的に蘭の種を発芽させて成株を育てるのに「無菌培養」が多く行われていますが、ラン菌がいなくても何故発芽し育つのでしょうか。
それはラン菌の栄養供給の役目の代用として、培地の中に蘭の種の発芽に必要な栄養分を人工的に供給しているからです。例えば、発芽培地はハイポネックスや砂糖等を入れています。また発芽後の苗を育てるための培地にはジャガイモやバナナ等を入れて有機物を人工的に供給しています。ですからフラスコから出された苗はラン菌がなくても光合成して成長できます。勿論これにラン菌が寄生すれば更に成長条件は良くなります。

お知らせ

(1) ヒロタ「サマーセール」

主催: ラン懇話会
日時: 2010年7月30日(金)~8月2日(月)
場所: ヒロタインターナショナルフラワー
JOGA審査 人気投票
出展業者 岡田蘭園、東京オーキッド、相模洋蘭園、Wenzel Orchids
オークション 8月2日13:00~

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